新型コロナ:半デミック(hemi-), NOT 汎デミック(pandemic)?vol.4

新型コロナ:半デミック(hemidemic), NOT 汎デミック(pandemic)?

 

2)事実2:死者数の格差

グラフ②は死者数(累計、百万人当たり)。集計や地理区分や期間は同じ。

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グラフ② 死者数累計(百万人当たり)

死者数もまた、世界平均を挟んで

上下への大きな乖離がみてとれます。

 

少しそもそも論です。統計は色々ありえますし、実際あります。しかしこと疾病などに関しては、一般に以下のことがいえます。

「感染者統計」 < 「死因統計」 << 「死者数統計」

の順で信頼度が上がるということです。

 

その理由は、

死者数の把握は、いかなる政府においても最優先事項である。

死者数は、かなりの情報統制国家でも対遺族、国民で嘘をつきにくい。

死因については、生前の検査体制の充実などとおおむね無関係で、各国がおおむね有事ではなく「パンデミック」も発令された状況では、死後のウィルス検出検査は行われやすい。国の処理能力を上回らない限り、圧倒的に多い生者の大規模な検査より数段行いやすい。

そう仮定/想定していい。

それに対し、圧倒的に多い生者の逐次か随時の検査は財政を圧迫する以上に、その時点での検査でしかないので、真正の陽性ならともかく、真正の陰性であっても、殆ど意味がない。

 

まず上記については、少なくともEUや北米、日本・韓国・台湾、オーストラリア、ニュージーランドなどで死者数を偽るのは至難の技だというのは見やすい道理でしょう。大幅に減らすなどの操作をしたら、遺族等が黙っていないでしょう。

しかし権威主義的な体制でも、程度差はあれ、これは意外なほどに変わらないかもしれません。そういう体制では、たとえ感染者統計や死因統計が信頼できなくても、死者数の統計にあたれば、国内における大規模な「人口動態的な何か」を隠しているか/いないかくらいは推定できそうです。

 

もちろん、それすら信用できない体制もありえます。

それどころか、現代の権威主義的国家だけでなく、民主的国家でも(第一次大戦当時と同様)戦争中なら、死者数や死因などを短期的に偽る可能性は十分にありますiii

 

身近な日本の、ずいぶん前の先の大戦中のことで恐縮です。代表的な例を二つ。

もっとも有名な部類では、300万の英靈/戦死者の2/3の死因です。餓死と病死、または栄養不足ゆえの病死です。(当時の)敵と交戦中に亡くなったほうが少数派です。知った当時は驚きました――「教わらなかった」と。

遺族には「最期まで勇猛に戦い云々」などというテンプレートが用意されていて、提供されたようです。単純計算ですが、66%の確率で死因は偽装されています。このことは今なら常識かもしれません(ただ最近までの義務教育、中学の歴史でどの程度教えられているのか。不勉強ゆえ詳らかにしません)

二番目の例は、戦争末期に甚大な人的・物的被害を招いた濃尾地震があったことです。しかし戦時の報道機関の統制で、被害者数はおろか存在すらろくに報じられなかったといいます。

これらの事例、特にそのマグニチュードにおいて、現代の日本の政治体制では、考えにくい事です。

 

そういう死因や死者の存在を偽ることは歴史上あったし、現代でもありうる。

 

とはいうものの、葬儀は人類において普遍的な儀式です。死者数だけは概ね分かるのです。しかし死因や、生者の疾病情報はやや不確実になる。

 

ともあれ、最も信頼できる(反証あるまでは)死者数統計において、

最も統計の質が高いと想定/仮定していいだろう「北米、EU」と、「日本、韓国、オセアニア(豪・NZ)」は、庶民の強いられている不便は同等か、むしろ後者のほうが緩い。なのに、後者のほうが安全。

これは少なくともこの一年を通し、一貫した傾向です。

 

なにより、単位当たり人口の死者数格差は、感染者の格差と同程度です。素朴/素直に解釈する限り、色々な検査体制の充実ぶりや、不備ぶりは、感染者や死者数の把握に大きな影響を与えていないと推測できます。

 

ナゼそんな一見常識に反することが起きうるのか?

アクマデ1つの仮説です。人は自ら行動するし、行動も変わるから、ではないでしょうか?

例年なら、風邪のような症状、少々の発熱程度では医療機関にいかない、いく暇がない人もいるでしょう(アメリカならそれが普通です)。

だが今は政府などの告知効果、ネット・電網上の情報の「ヴァイラル、すなわちウィルス感染のような」拡散があります。自主的に、又は家族に促され受診する。行くようになった。変化した。なので自ずと捕捉されやすくなったのではないでしょうか。

 

まとめます。

平行宇宙での出来事……とまではいかないですが、グローバルにみる限り、

「パン(汎)デミック」よりは、「ヘミ()デミック」と呼ぶにふさわしい。

少なくとも一年経過した時点では、それが事実に最も近い。

 

 

 

 

iスペイン風邪」は、まだ微生物などの感染症学が揺籃期だった(電子顕微鏡でウィルスの姿が確認されるのは1930年代)こと。戦時下の兵士の密集生活。塹壕戦や毒ガスなどによる不衛生、死の恐怖という最大級のストレスなどが感染拡大の余地を広げました。なにより参戦国の戦時報道統制や検閲が被害の実態を知ることを妨げ、感染拡大を許す格好となった。科学的に正確な報道は、感染拡大予防のアルファでありオメガです。

 

ii 戦時下報道統制や検閲、プロパガンダまがいの報道の助長は、ソフトな形を含めたら多くの民主主義国でごく最近でも行っていたとされます。「他国は推して知るべし」か「それらの国こそ欺瞞的」か。それは本稿の論旨を越えてしまいます。